音成亜美氏講演:伝統と革新、そして未来へ – 旅館あけぼのの事業承継

音成亜美氏は、佐賀市出身で、高校卒業後に東京の大学へ進学しました。その後、上海留学や日経の食品会社、外資系企業での勤務を経て、2021年に佐賀へUターンしました。 音成氏は27年間東京に住み、4年前に佐賀に戻り旅館を継ぎました。

旅館「あけぼの」の135年の歴史

音成氏の旅館「あけぼの」は、135年前に長崎街道沿いの宿場町の宿として創業した歴史ある旅館です。 以前は飲食業が売上の9割を占めていましたが、現在は宿泊業を強化することでアフターコロナに備えています。

先々々代の祖父は絵画に造詣の深い人物でした。現在の「あけぼの」の看板の文字や「あけぼの」の家紋ともいうべき「ムツゴロウ」のロゴ(絵)は先々々代の筆によるものです。

また、画家としてのたぐい稀なその才能は、撮りためられた写真のネガにもあふれるばかりに凝縮されています。社長の亜美氏もその膨大なネガに接し、言葉にならない感動を覚えたと言います。今はそのネガの一部が、旅館「あけぼの」の館内にパノラマ写真として飾られています。

父からのバトンを受け継ぎ、旅館「あけぼの」の未来を創造する

旅館を継ぐ前は、旅館に温泉がない、エレベーターがないなど、「ないない思考」に陥っていたといいます。 しかし、事業承継を機に、旅館の強みを見直し、顧客体験の向上に努めてきました。顧客の口コミから知った 旅館の強みである朝食の美味しさと、さらにスタッフの笑顔を際立たせることを目標にしています。

そのため、朝食会場を改装し、佐賀の特産品である海苔を「海苔ホイロー」として提供するなど、様々な工夫を凝らしているのもそのいっかんです。

また、最近、スタッフの就業環境を考え、月曜日を定休とし、週休2日のお休みが取れるようにしました。

 

父からの伝言

事業承継で特に注目すべき点は、先々代の父親からの教えを大切にしながらも、時代の変化に対応した旅館の経営を目指していることです。 音成氏の父親は、「人間と物は違う」という教えを説き、物には造られたときから役割が決まっているが、人間は自分で役割を決める必要があると諭しました。それは人であるがゆえに自らの役目は自らが決めることができるということでした。

また、高校時代には、音成氏が得意としていた英語を「英語ができるくらいで偉そうに鼻を高くするな」と叱責し、海外での仕事に興味を持たせました。 音成氏は、父親の教えを胸に、大学では中国語を専攻し、上海留学や海外での勤務を経験しました。 これらの経験は、音成氏のグローバルな視点を育み、旅館経営にも活かされています。

 

継ぐ者の意志

コロナ禍で中断していた落語イベントを再開したのは、それは先々代が始めた地域への貢献の一つでもあります。

先代、先々代の教えをはじめ、五代目をついで、最近感じることは、先代、先々代、さらにその前の先代の方々と、その時そのときに残してくれた財産が旅館「あけぼの」のいたるところにあるということです。

日頃は気づかない何気ない日常が、目を凝らしてみるとそれらが語り掛けてくるものがあり、それらが現代の経営の方向性を指し示してくれています。

「あけぼの」の大正時代の建物もしかり、ムツゴロウの絵もしかり。ご自身がご先祖様に守られていることをつくづくと感じる、とのことでした。

今回の講演は、事業承継というテーマを通じて、伝統を守りながら革新を起こし、未来を切り拓いていくことの重要性を示唆するものでした。

音成氏は、先々代の父親から受け継いだ旅館を、さらに発展させ、地域に貢献していくことを目指しています。 音成氏の挑戦は、事業承継を考える多くの経営者にとって、貴重なヒントになるのではないでしょうか。

音成社長、大変貴重なお話、ありがとうございました。

 

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